HSBC SVNS:2025年、演劇、スポーツ、驚異的な身体能力、そして国家の誇りが輝いた舞台
HSBC SVNSの大会翌日は、まるでお気に入りのバンドのライブを観た翌日のような感覚になることがあります。特別な瞬間を目撃したという高揚感と、それが終わってしまったという寂しさが入り混じるのです。頭も、胃も、心も、観たことをどう処理すればいいのか分からず、次に彼らが街に来るのはいつか、あの魔法は再現されるのか、あるいはそれ以上のものになるのか、そしてその記憶をどうすれば噛みしめられるのかを考えます。2025年の大会は、まさに嵐のようなものでした。
順不同ではありますが、7つの特別な週末にわたって繰り広げられたアクションの中から、多くのファンの感情を揺さぶったであろう選手たち、そして瞬間の一部をご紹介いたします。
カナダの選手たちが、キャプテンOlivia Appsに向ける愛情。彼女はチームメイトを支え、チームメイトもまた彼女を支えます。彼女は究極のチームプレイヤーです。
完全に集中し、冷静で、記録を打ち立てたMichaela Brakeが、シンガポールやロサンゼルスの決勝戦前に流れるニュージーランド国家を聞いて、抑えきれずに感情をあらわにした瞬間。
プレーオフ決勝での勝利後、ケニアの選手たちと一緒に踊る、情熱的でカラフルなケニアのサポーターたち。
フィジー女子代表における、トライスコアラーの層の厚さ。Verenaisi Ditavutuを抑えればいい? でも今度はVika Nakaciaが来る…それともLavena Cavuruか、Sesenieli Donuか…もうお分かりいただけましたね。
スペインのPol Plaの尽きることのないポジティブさ。もし彼がスペインの電力網に繋がれていたら、国内の停電をひとりで解決できたかもしれません。
オーストラリアのスター選手Maddison Leviの驚異的な身体能力。彼女にできないことはあるのでしょうか? アタック、ディフェンス、ジャンプ、タックル、スプリント、ジャッカル—すべてをこなします。しかし、彼女自身のことではなく、すべてはチームのため。特別な才能を持つ選手です。
2025年のHSBC SVNS「年間最優秀選手」に輝いたJorja MillerとLuciano Gonzalez。それぞれニュージーランドとアルゼンチン代表として、そしてHSBC SVNSシリーズ全体に対して果たした貢献を、どう表現すればいいのでしょうか? 残り10秒でトライが必要な場面—ボールを彼らに託せば道が開けます。存在しないはずのスペースにギャップを生み出す、ゲームチェンジャーです、この2人は。
フランス代表Lili Dezouの、ハードかつ頻繁なタックルへの飽くなき意欲。目立つ存在ではないかもしれませんが、常にそこにいて、信頼される選手。チームメイトに愛される、真っ先にチームリストに名前が載るタイプの選手です。フランスを倒したいなら、まずはDezouを倒さなければなりません。
男子シリーズ全体に漂う、クレイジーで予測不能な展開。フランスがバンクーバーで準優勝したかと思えば、次のシンガポール大会では最下位。南アフリカも、香港とバンクーバーでは9位だったのに、ロサンゼルスでは世界王者に輝く。オーストラリア? 上がったり下がったり—7位、9位、2位、7位、3位、10位、ロサンゼルスでは6位。頭を抱えるような混沌か、最高のスポーツエンターテインメントの本質か。
フィジーのオフロードパス。それは角度、伸縮自在な腕、そして追い詰められた状況でもパニックにならず、地面に倒れず、仲間を探す姿勢にすべてが表れています。フィジー代表に共通するこの特徴は、日本女子代表の「チームスピリット」や「効率の良さ」と並んで、その国の代表チームの特性を象徴しています。
きっと、ロサンゼルス、そしてそれ以前の6つのHSBC SVNSイベントの中で、皆さんにもそれぞれのお気に入りの瞬間があることでしょう。
そして、次にやってくるのは、フォーマットが一新された2026年大会です。
来季のワールドチャンピオンシップは、1大会ではなく3大会で構成され、12の女子チームと12の男子チームが大賞を競い合います。
この「特別な12チーム」は、ロサンゼルスのワールドチャンピオンシップに出場した8チーム(来季はDivision 1として6大会に参加)に、新設されたDivision 2の上位4チームを加えた構成となります。
もし来年の大会が今年の半分でも素晴らしいものであれば、それは十分に待つ価値があります。
選手、コーチ、そしてファンの皆様へ——2025年、心躍る大会をありがとうございました。