HSBC SVNS LA大会、男子フランスが19年ぶりの優勝、女子はニュージーランドが連勝

HSBC SVNS 2024 ロサンゼルス大会が3月1-3日に行われ、男子はAntoine Dupont選手の加わったフランス代表が英国代表に21-0で勝利して19年ぶりの優勝を遂げ、女子はニュージーランド代表がオーストラリア代表とのトップ2対決を29-14で制して2大会連続優勝を飾った。

先週末のバンクーバー大会で15人制代表SHのAntoine Dupont選手が7人制代表デビューを飾って今季初の3位に入ったフランスが、一週間後のロサンゼルスで結果を出した。

プール戦を2勝1敗で準々決勝へ進出したフランスはアメリカに14-0で勝利し、準決勝でアイルランドに26-24と競り勝って決勝へ進出した。

今季初の決勝進出で序盤から攻撃を仕掛ける英国にフランスはハードな守備で対抗。競り合う時間が続いたが、前半7分、英国は自陣でボール保持者が怪我に見舞われる不運もあってパスが乱れ、フランスが反応。ボールを奪うとAntoine Zeghdar 選手が先制トライを決め、前半を7-0で折り返した。

後半開始早々、ペナルティが続いて並に載れない英国に対して、フランスはペナルティを契機に22メートル内に攻め込み、最後はStephen Parez Edo Martin選手がトライ&コンバージョンを決めてリードを広げた。

直後にAntoine Dupont選手がベンチから登場すると反撃を試みる英国の前に立ちはだかり、強烈なタックルで相手の攻撃の芽を摘む。12分に英国のMorgan Williams選手がイエローカードを受けてフランスが数的優位になり、直後にDupont選手からパスを受けたTheo Forner選手がトライ&コンバージョンで7点を加え、フランスが21-0で勝利した。

自国で開催される今夏のパリ・オリンピックでの金メダル獲得を目標に、年明けから7人制代表に専念しているDupontは、優勝の瞬間、両手の人差し指で“NO.1”のポーズを作って空を指し、2005年以来19年ぶりのラウンド優勝に喜びを表現した。

フランスがセブンズシリーズで決勝に進出したのはこれが8度目だが、2005年のパリでの優勝以後の6回は、いずれも準優勝に終わっていた。

「実感が湧かない」というフランスのWilliam Iraguha選手は、「このために僕らはハードワークしてきたし、とても長い間待ち望んできた。去年の大会では決勝で敗れたけど、僕らは皆、今日がその日に違いないと思っていた。選手一人ひとりが自分のパートを務めての勝利だ。素晴らしいフィーリングだし、とてもとてもうれしい」と話した。

3位にはスペインに24-7で快勝したアイルランドが入った。

 

アルゼンチンは5位もシリーズ首位を維持

 先週のバンクーバー大会まで3大会連続優勝をしていたアルゼンチンは、5位に終わった。

アルゼンチンはプールを3戦全勝で突破して準々決勝へ進んだが、そこでアイルランドに14-24で敗れて順位決定戦へ回り、5位決定戦ではフィジーに26-21で勝利した。

7位は開催国アメリカに24-14で勝利したオーストラリアで、9位はニュージーランド12-5で下したサモアが入り、11位はカナダに28-15で勝った南アフリカだった。

この結果、今大会5位フィニッシュながらも勝ち点12を加えて総合勝ち点を90としたアルゼンチンが、2位のアイルランドに勝点差20をつけて首位をキープ。優勝したフランスは先週の7位から4位に順位を上げ、英国も1つ順位を上げて9位としたが、ニュージーランド、南アフリカなどは順位を下げた。

 

女子ニュージーランド、トップ2対決を制す

今季シリーズのトップ2対決となった女子決勝は、2位のニュージーランドが首位のオーストラリアにMichaela Blyde選手のハットトリックなどで29-14と勝利。2ラウンド連続優勝でシリーズ総合勝ち点を86として、オーストラリア(90)との今季の勝ち点差を4に縮めた。

先週のバンクーバー大会での優勝で今季シリーズ首位オーストラリアとの差を6に縮めたニュージーランドは、LAでも好調を維持。ドバイでの開幕ラウンド決勝で敗れたオーストラリアへの雪辱を期して、今季3度目の決勝に臨んだ。

決勝は全勝チーム同士の顔合わせ。ニュージーランドはプールAを3戦全勝で8強に進み、準々決勝でアイルランドに36-12、準決勝でカナダに31-12で勝って決勝に進んだ。オーストラリアもプールBを3戦全勝で突破して、準々決勝でブラジルに26-5で勝利。準決勝では開催国アメリカに26-19で下して、2大会ぶり今季4度目の決勝進出だった。

好調な両チームだったが、決勝で違いを見せたのはニュージーランドのBlyde選手で、Risi Pouri-Lane 選手とPortia Woodman-Wickliffe選手も続いた。

Blyde選手は開始2分で先制トライをマーク。その後、オーストラリアのCharlotte Caslick選手のトライとTeagan Levi選手のコンバージョンで5-7と逆転を許した。

だが、前半6分に自陣深い位置でボールを持ったBlyde選手が、緩急をつけた力強い走りとハンドオフで詰め寄る相手をかわしてゴールまで走り切る圧巻のパフォーマンスを披露。2トライ目を決めて、Tyla Kingが2点を加えて12-7と逆転に成功した。

その後、前半終了間際にオーストラリアはMaddison Levi選手にヘッドコンタクトがあったとしてイエローカードが出され、ニュージーランドが数的優位に立つと、後半開始早々にPouri-Lane選手が5点を加え、さらに9分にはWoodman-Wickliffe選手が右サイドを走り抜いてトライを決めて22-7とリードを広げた。

オーストラリアは12分にLevi選手がスイッチパスで相手のギャップをついて5点を返したが、残り時間2分でパスを受けたBlyde選手が再びインゴールまで走り切って3トライ目をマーク、コンバージョンも決まって29-14で勝利した。

Blyde選手は、「私たちはシーズンを通しての安定性を求めてきていて、それをここ2週間で実践できた。オリンピックでの大きな目標に向けてチームを作っているところで、この結果はそこに向けて良い積み上げになるし、安定してこのようなプレーを続けることが現時点での大きな目標だ」とコメント。

オーストラリアとは勝ち点4差でシリーズ首位も射程距内に捉えて、Blyde選手は「オーストラリアは今季とても好調なので、彼女たちを追いかけるのは楽しみ。今日は勝てて本当にうれしい」と語った。

3位に入ったのは、カナダに21-7で勝利したホスト国のアメリカ。7-7の後半、Steph Rovetti選手が均衡を破り、その後ペナルティトライを獲得してカナダを振り切った。

そのほか、フランスがSeraphine Okemba選手の4トライなど、南アフリカに53-0の完封勝利で5位に入った。7位はブラジルで、パース大会で勝利したアイルランドを28-14で退けた。9位は英国に24-19で勝利した日本で、11位はスペインに40-7で圧勝したフィジーだった。

 

平野選手が3トライ、サクラセブンズ9位

 サクラセブンズ女子7人制日本代表は英国代表との9位決定戦で平野優芽選手がハットトリックを決めるなど24-19で競り勝ち、9位に入った。

日本は試合開始早々に三枝千晃選手のトライで先制したが、直後に平野選手がイエローカードを受けて2分間の一時退場となり、その間に英国のGrace Crompton選手、Amy Wilson Hardy選手にトライを許して前半を7-12で折り返し、後半開始直後にもWilson Hardy選手に2本目を決められて7-19と点差を広げられた。

しかし、英国はAbi Burton選手が8分に、Crompton選手が11分にイエローカードを受けて一人足りない状況が続く。日本はその間の11分にゴール前のブレークダウンから平野選手がショートサイドを攻めて5点を返すと、直後にも平野選手がスクラムから持ち出してポスト下まで走り切ってトライをマーク。内海春菜子選手のコンバージョンも決まって19-19に。延長に入り、日本はペナルティのチャンスから攻めて平野選手がインゴールに走り込んで5点を加え、日本が24-19で勝利。勝ち点4を加えたが、総合順位11位からの浮上はならなかった。

来季残留へトップ8入りで勝ち点を稼ぎたい日本だったが、プール戦でフランスに7-35、オーストラリアに5-46、アイルランドに12-26と3敗を喫して9位以下の順位決定戦へ回り、9位決定準決勝でスペインと対戦していた。

スペインに先制を許したが、前半5分に須田倫代選手がトライ&コンバージョンを決めて同点に追い付いて前半を終了。後半開始早々、自陣でボールを持った大谷芽生選手が走り抜いてポスト下にトライ。須田選手のコンバージョンも決まって14-7と均衡を破った。

その後、スペインのEva Aguirre Diaz選手が5点を返したが、日本は平野選手がインゴール手前まで持ち込むなど、追加点はならなかったものの、最後まで攻めて14-12で勝って9位決定戦へ進んでいた。

シリーズは男女とも残り2ラウンド。次は4月5-7日に香港で開催される第6ラウンドで、最終第7ラウンドは5月3-5日にシンガポールで行われる。そこまでの成績で、5月31日-6月2日にマドリードで行われるシーズン最終戦で出場する部門が変わる。上位8チームは優勝をかけたグランドファイナルへ進出。一方、下位4チームはワールドラグビーセブンズチャレンジャー2024の上位4チームとのプレーオフで来季残留&昇格をかけて戦うことになる。